第5回 自分を成長させるために「許す」

自分には、直接、害はないのですが、ルールを守っていないと思う人に対して腹が立つ感情をどのようにコントロールしたらいいでしょうか。
三つほど選択肢があります。
「戦う」、「無視する」、「許す」です。
この選択肢のうち、直接、害があるという場合は別ですが、「戦う」というのは、ほとんど、無意味です。
なぜなら、得することがないからです。労力をかけた分だけ、マイナスになります。
ルールというものは、国、場所、文化、人によって違ったりします。そのようなものに、いちいち関わっているだけ損です。
そのような人をみたら、普通に、「私はあんなふうにはなりたくない」と、思っていればいいのです。その人をどうにかしようなどと思わないことです。それは、その人の問題ですし、むしろ、そんなことしてあげる必要はありません。
ですので、なるべく、無視する、関わらないことです。
ただ、「許す」という選択肢は、結構、有意義です。
つまり、「許せる自分になるにはどうしたらいいだろう」と考えることは有意義だということです。その人のために許すのではなく、自分を成長させるための材料として、「許す」という選択肢を選ぶのです。
すべてを許すことができるというのが、一番、懐の深い人間だとするならば、自分はそれよりも懐が浅いから許せないわけです。そこで、自分の懐を広げる材料の一つとして、「はたして、自分がこの人を許すためには、何が足らないのだろうか」ということを検証します。
チェックポイントは、「無知」、「未納得」、「我慢」です。
まず、いちばんの許せない要因は、何を考えているのかわからないということです。相手がどういった思考回路で行動しているのかがわかるだけでも許容範囲に入ってくるものです。
ですので、自分が「知らないんじゃないか」ということをチェックします。そして、知らないのであれば、知ることです。
また、本当は納得できていない事柄を実行していないかをチェックします。
例えば、マナーについてです。他人のマナーの悪さが気になるといったときに、自分が本当に納得しているのであれば、「そういう自分でありたくないから、ちゃんとやるんです」ということで、人ができていなくてもそんなには気にならないものです。でも、よく納得できていないでやっている人というのは、自分の努力を無にするかのような気がして、他人がやっていないことが許せないのです。
ですので、自分が「納得していないんじゃないか」ということをチェックします。そして、納得していないのであれば、納得するまで考えたらいいでしょう。
そして、もう一つのチェックポイントが、我慢です。つまり、我慢してやっているということを自覚しているかを検証します。
例えば、並んでいる所に割り込んでくる人に対しての「許せない」です。
これは、並んでいるのが当たり前と思っているから、並ばないことに対して「許せない」というふうに思考回路が働いています。でも、並んでいることは、当たり前のことではありません。本当、自分だって、無理して並んでいるのだし、並ばずに先頭に入れるのであれば入るという話しです。
あくまでも我慢して並んでいるのであって、好きでやっているわけではありません。ただ、並ばなければいけないというルールがあって、それを守りたいから守っているということです。
我慢してやっていることを自分の中でちゃんと自覚することは大事です。その上で、「あの人は並べないんだ、ダメな人なんだ」と胸を張っていればいいのです。
こうやって、いまの状況を意識して、自分の許容範囲を広げていくのです。
嫌な人を見てイライラしていても、その人は何とも思っていません。自分が損をしているだけです。
せっかく嫌な思いをしているのです。どうせだったら自分の役にたててしまいましょう。

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