第7回 できないことを喜びましょう

子どもが、一番になりたいという気持ちが強すぎて、将来、「俺が、俺が」みたいにならないかが心配なのですが、どうしたらいいでしょう。
このような相談がありました。
まず、気をつけていただきたいことは、基本的に、競争とは自分との競争です。だから、実力で負かすのなら良いのですが、蹴落とすのはノーです。つまり、向上心は良いのですが、それが、嫉妬とか、見下しとか、そういう方向にはいかないようにしないといけません。
自分で自分の目標を立てていくということは大事ですね。
ただ、その目標は、一番になるということではありません。自分がどのくらいできるようになるか、今の自分の位置からどのくらい進んでいくのかということです。
それが、人より勝ったならば、一番になれるわけで、一番になるかどうかは結果です。だから、勝ちたいのであれば、努力しなくてならないし、まわりの子が自分よりも勝ったということであれば、その子は自分よりも努力したのだということをちゃんと話してあげるといいでしょう。
もっとも、今は、一番になりたいという子よりも、むしろ、向上心を持たなかったり、やる気が見えない子のほうが多いのでないでしょうか。実はこれ、向上心を持たないというよりは、傷つきたくないということであったり、失敗を恐れるということであったりします。
いまの学校は、できたら「賢いね」と褒められ、できないと「立ってなさい」みたいなことになりがちです。そうすると、「できない」と言えないような環境になって、「できない」と言うこと自体がダメなことみたいな刷り込み方をされていきます。
でも、本来、子どもの時というのは、練習の期間です。できることをいくら発見しても、それは練習する必要のないことなのですから、あまり意味がありません。むしろ、何ができないのかを知ることのほうが重要です。自分ができないことや、知らないことをたくさん見つけて、練習して、できるようになることのほうがよっぽど大事です。
 ですから、できないことが見つかったことをみんなで喜びましょう。
「よかったね、ひとつ練習することが見つかったね」できないことを見つけるということは、その子の伸びしろをみつけるということなのですから。

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